デザイナーが語る15.0%
第5回
いつでもどこでも食べたい!を軽量化と携帯化で実現
アイスクリームスプーン「15.0%」シリーズを発表して2年、メディアに取り上げられたことも追い風となり、予想以上の反響がありました。そのおかげでバリエーションを増やし、ブランドとして定着させていったのですが......。今回は、新作「sesame」のお話です。
「15.0%」の売れ行きは順調なようにも見えましたが、よくささやかれるのが「3年目の試練」。3年もたつとブランド立ち上げ時の勢いが失速してしまうことがままあるのです。発表時には注目を集めた新商品も見慣れた物となり、最初はメーカーが先行投資で商品開発やプロモーションに投入していた資金や労力も、3年目には結果がある程度見えてこないと後回しになりがちです。逆にここを乗り切れば安心なのですが、そのためにはまったく新しいコンセプトのアイテムを市場に投入しなければなりません。我々は「作り手」なので、派手なプロモーションでテコ入れするのではなく「新しいモノを提案する」ことでチームが盛り上がっていくからです。
そこで、新製品として考えたのが「携帯用アイスクリームスプーン」です。そもそも1作目のスプーンは、「すぐにアイスを食べられる」のがコンセプトでした。新幹線の中で買ったアイスがカチコチで硬すぎたので、なんとかならないかと思ったのがきっかけです。早く食べたいというアイス好きのじれったい気持ちを解決したいと思ったのです。
そこで今回考えたのが「いつでもどこでもアイスが食べたい!」という気持ちを解決するアイテム。アルミニウムの熱伝導率の高さを利用した既発売のスプーンの機能をそのまま持ち歩ければ、つまり新幹線に持ち込めれば、当初の目的が達成できるはずです。
そこで「携帯用アイスクリームスプーン」のデザインに取りかかったのですが、以下2点をテーマにしました。1小型/軽量化すること。2ファッションアイテムとすること。1点目は前モデルがプレゼントにはふさわしくても、自分使いとして購入するには高いという意見もあったためです。1本1本を職人の手磨きで仕上げているので仕方がない価格設定なのですが、気軽に買ってもらえるアイテムにしたいと思いました。そのために、小型/軽量化で持ち歩きやすくしつつ、アルミの使用量を減らすことでコストを抑えることにしました。
2点目は、スプーンを携帯できても、いわゆる「マイ箸」のようにケースに入れてカバンの中に入れてしまうのはつまらないと思ったからです。アイスクリームスプーンを持ち歩く人は、おそらくちょっと変わった人です。そんな人だったら、自分が「アイスクリーム好き」であることをアピールしたいはず。「何これ?」と聞かれるようなお茶目なアクセサリーを身に着けている人同士が街で出会い、その場でお友達になってくれたら楽しいなと思ったからです。そう思いながら、スプーン本体とストラップ状のカバーのスケッチを起こし始めました。
スプーンにある程度の厚みを出せば握りやすくなり、熱伝導率が高いアルミニウムのスプーンを使えば、握った手の熱を伝えることでアイスを溶かしながらすくい出せます。どんなにアイスがカチカチでも、すぐに食べられそうです。そんなアイデアをスケッチに起こしてクライアントに提案してみました。
(文:寺田尚樹)
第6回 「時間や場所を問わず アイスを楽しむためのデザイン」へ
アイスっ娘 icecco
uhttp://icecco.com/
アイスが大好きな女の子とカメラマンがタッグを組み、おいしい表情をとらえるプロジェクト。真野恵里菜さんや伊藤寿賀子さんをはじめ、女優・アイドル・モデルが多数登場している 。
君島光輝(写真左)
アイドルグループ「palet」の赤色担当。2013年
秋には日本コロムビア(株)よりメジャーデビュー予定。舞台に出演するなど、女優としても活動
藤川ひな(写真左から2番目)
6歳のときにスカウトされ、その後、雑誌「ぷっちぐみ」(小学館刊)にて2年間専属モデルを務める。CM・広告出演は多数
宮本優花(写真右から2番目)
舞台「問題のないわたしたち」、NHKオンライン
Eテレ「すイエんサー」のほか、雑誌「ピチレモン」(学研パブリッシング刊)などで活躍
市川咲(写真右)
アイドルユニット「asfi」(アスフィ)のメンバー。八重歯がチャームポイント。日本テレビのイメージガール「日テレジェニック」としても活躍中