アイスクリームスプーン性能比較試験
試験1:柄と先端の温度変化試験
スプーンをにぎった時の、手の熱の伝わり方の計測を行いました。
写真では、スプーンの色が、青→黄→赤の順に温度が高いことを示しています。
また、グラフでは青のラインが柄の部分の温度変化を、赤のラインが先端の温度変化を示し、ライン同士が接近しているほど熱が伝わりやすいということになります。
15.0%アイスクリームスプーン

またグラフでは、2つのラインが完全に重なり、柄と先端が時間差なしに一緒にあたたまり、熱伝導がとても良いことを示しています。

A: 他社アイスクリームスプーン アルミダイキャスト製


B: 他社アイスクリームスプーン アルミプレス製


C: 他社アイスクリームスプーン 銅製


D: 従来のアイスクリームスプーン ステンレス製

手の熱が伝わらずに、ステンレスには、熱伝導性能は期待できません。

15.0% | A: 他社アイスクリームスプーン アルミダイキャスト製 |
B: 他社アイスクリームスプーン アルミプレス製 |
C: 他社アイスクリームスプーン 銅製 |
D: 従来のアイスクリームスプーン ステンレス製 |
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柄 | 先端 | 柄 | 先端 | 柄 | 先端 | 柄 | 先端 | 柄 | 先端 | |
開始時(℃) | 26.6 | 26.8 | 26.7 | 26 | 27.6 | 27.3 | 26.6 | 25.6 | 29.7 | 27.6 |
5分後(℃) | 32.2 | 32 | 31.5 | 29.3 | 33 | 31.6 | 32.3 | 30.8 | 32.2 | 27.6 |
上昇温度(℃) | 5.6 | 5.2 | 4.8 | 3.3 | 5.4 | 4.3 | 5.7 | 5.2 | 2.5 | 0 |
上昇率 | 21.0% | 19.4% | 17.9% | 12.6% | 19.5% | 15.7% | 21.4% | 20.3% | 8.4% | 0.0% |
試験2:保温性能比較試験
ホットタオルをスプーンの柄の部分に3分間あて、その後の先端部分の温度変化について試験を行いました。

A: 他社アイスクリームスプーン アルミダイキャスト製 |
B: 他社アイスクリームスプーン アルミプレス製 |
15.0% | C: 他社アイスクリームスプーン 銅製 |
D: 従来のアイスクリームスプーン ステンレス製 |
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開始時(℃) | 24.9 | 25.5 | 25.3 | 25 | 25.5 |
3分後(℃) | 26.9 | 27.4 | 27.9 | 27.4 | 25.7 |
6分後(℃) | 25.7 | 25.5 | 26.7 | 25.9 | 25.7 |
総括
最近、15.0%の後追い製品(コピー商品)が多く見られますが、同じ「熱伝導率の高いアイスクリーム専用スプーン」と謳っていても、試験の結果、その性能に大きな隔たりがあることがわかりました。
その理由は以下が考えられます。
- 15.0%は柄の握る部分の表面積が大きいため、熱の入る性能が高い。
- 15.0%は柄が太く断面積が大きいため、熱を効率よく伝えることができる。
- 15.0%は無垢材で、表面は研磨による仕上げだけなので、塗装やアルマイトなど表面処理をしているものより、熱の入る性能が高い。
- 15.0%は体積に対しての表面積の比率が低いため、熱が逃げにくく、熱をためやすい。
また、素材自体はアルミより熱伝導率の高い、銅を使った製品も上記の理由から、15.0%アイスクリームスプーンの方が性能が高いという結果となりました。
単に素材の性能だけでなく、「アイスクリームを溶かす」というコンセプトを実現させるために、その形状、体積、仕上げなどのバランスを慎重にデザインしたことが、製品としての性能を大きく左右していることが試験結果からわかりました。
以上のことからわたしたちは、15.0%のアイスクリームスプーンが素材の熱伝導率の高さに加え、握りやすく、力を加えやすい、熱伝達性能にすぐれた形状によってアイスクリームに最適なスプーンだと考えています。
わたしたちは、「デザイン」とはオリジナルのアイデアである事に加え、機能や形状など全ての要素をバランスよく統合し、製品としての性能=クオリティーの高いプロダクトを提案することだと考えています。
試験データダウンロード
試験機関
富山県工業技術センター
〒933-0981 富山県高岡市二上町150番地
TEL 0766-21-2121